陰陽とは、この世界の成り立ちを表すもの。
その陰陽に「木火土金水(もっかどこんすい)」の属性を加えたものが《陰陽五行》です。
占い――だけでなく、陰陽は全ての理(ことわり)を描いた究極の形です
この考え方の基本にはインド哲学のアユルヴェーダがあり、中国の「道(タオ)」となり、仏教や神道という形で私たちの日常生活の中に潜んでいます。
この記事では、陰陽五行の“陰陽”の世界を「占い」「スピリチュアル」という観点だけでなく《東洋思想》の基本理念として詳しく解説して行きます。
陰陽とはわかりやすく言えば「-(マイナス)」の気と「+(プラス)」の気と交わって万物は成り立っているという意味です。
上記の画像の太極図(たいきょくず)は「-(マイナス)」の気と「+(プラス)」の気とが交わってバランスが取れたその一瞬の刹那を図として表したものです。
なぜなら陰の気も陽の気も、増減を繰り返し、巡りながら常にバランスを取ろうとする働きをしているからです。
陰の気と陽の気は、それぞれが良い悪いはなく電池と同じく「+と-」の関係でしかありません。
陰のマイナスとは「加冷の極地」であり、陽のプラスとは「加熱の極地」であり、この2つの気が混じり合い。お互いが増減して、巡りながらバランスが変わっていくことで「春夏秋冬」が生まれます。
宇宙には太陽光による加熱と宇宙が持つ加冷という2つの力があります。
その中で「冷やす力」の極地が陰の気です。
簡単に陰の気に属するものを列挙してみると……
このようになります。
与えるものを「受ける」「減っていく」「奪われていく」「緩やかになっていく」というマイナスの力が陰の気です。
一見するとネガティブな印象があるかもしれませんが、体重が増え続けて減らないと、どうなってしまうでしょうか?
体温が上昇し続けて、下がらなくなってしまったら、どうなってしまうでしょうか?
減ることも、低下していくことも全てが悪ではないのです。あくまで「視点」の問題でしかありません。
それでは対する陽の気とは、なんでしょうか?
加熱、与えるもの気の総称が陽の気です。
熱を与えて空気・地面が温められる――加熱性の極地が陽の気です。
陰の気と対になる陽の気を今度は列挙してみましょう。
このように表現することができます。
「与えるもの」「加える」「与え続ける」「加速していく」というイメージがわかりやすいでしょう。
「与えられる」や「明るい」というイメージから、どうしても陽の気はポジティブな印象を受けてしまいがちですが、やはりこれも視点の問題です。
温度が上昇し続けると自然発火してしまうし、常に水を与え続けられた植物は根腐れをしてしまう――このように与えられるものというのも視点によっては考えものなのです。
また、こういった思想から「陰キャ」「陽キャ」で人間をタイプ分けすることは、あまり良いことではないことがおわかり頂けるかと思います。
なぜなら、陰キャであろうと陽キャであろうと、それはその人の一面でしかなく。どちらも等しく社会には必要だということですから。
陰 | 陽 |
月 | 太陽 |
地 | 天 |
水 | 火 |
女 | 男 |
寒 | 暑 |
無機物 | 有機物 |
萎縮 | 肥大 |
太陽の加熱が陽であり、宇宙の冷却の力が陰ですが、これはあくまで見方の問題です。
例えば冬の中でも特に厳しい寒さなら「陰の陰」と言えるでしょうし、暖冬なら「陰の陽」と言えます。
この場合「冬」という観点から見れば、冬の中でも特に厳しい寒さなら「陰の陰」と言えるでしょうし、暖冬は「陽」となる。
逆に真夏で40度を超えるような猛暑は「陽の陽」ですが、冷夏の場合は「陽の陰」となります。
もちろん、この場合も「夏」という視点から見れば冷夏は「陰」です。
このように「視点」によって陰陽は変わりますが、必ず万物は対(つい)となる存在があるということを意味するのが陰陽の世界だと思うとわかりやすいかもしれませんね。
陰の中にも陰陽があり、それが増減する。
陽の中にも陰陽があり、それが増減する――さらに、その陰陽の中にも……と曼荼羅(まんだら)のように終わりのない陰陽がめぐる世界が私たちが住む世界を最大公約数で解釈したモノが「陰陽」の世界です。
そして、この「陰が巡る」ことを陰遁(いんとん)と呼び、逆に「陽が巡る」ことを陽遁(ようとん)と呼びます。
「絶対的な陰だけ、絶対的な陽だけはこの世界には存在し得ない、常に陰陽は増減を繰り返しながら均衡を保つ」ということを覚えて頂ければOKです!
この考えをベースに、すべての調和を取れた状況を目指し、仏教では中庸(ちゅうよう)と呼んだりします。
次のページでは陰陽の世界をより詳しく解説していきます。